【自作レバーレス】100均部材とキースイッチでSteamとSwitchで使える無線レバーレスコントローラのDIY作成(第3回:真鍮管ハンダレス圧着&無線基板配線編)

こんにちは。自作ワイヤレスレバーレスコントローラー制作記の第3回目です。
前回は筐体のガワとアクリル天板の加工を行いましたが、今回は本プロジェクトの最大の技術的見どころである「配線」に入っていきます。

今回のテーマは、ハンダ付けを極限まで減らす独自の「真鍮管ハンダレス圧着工法」です。


1. 着想はPS3コントローラー:電気的につながっていればいいという割り切り

今回使用するキースイッチ(KailhロープロファイルV1)の配線にあたり、ハンダ付けの熱によるスイッチの破損リスクを避けたいと考え、ハンダを使わない「圧着システム」を考案しました。

この工法のヒントになったのは、実はPS3の純正コントローラーです。PS3のコントローラー内部をバラしたことがある方ならお馴染みかと思いますが、あの基板はいたるところに圧着による接続が多用されています。

「電気的にしっかり接触してさえいれば問題ない」

この割り切りの良さにシビれ、今回はハンズマンで購入した外径2mm/内径1mmの長い真鍮管を使い、MDF基板の厚みに合わせた独自の圧着スリーブを量産することにしました。


2. ダイヤモンドカッターによる真鍮管スリーブの量産

まずは、長い真鍮管を内蔵基板の厚み(3mm)に合わせて「3mm弱」の長さに大量カットしていきます。

カット作業には、電動ドリルに100均のミニリューター用ダイヤモンドカッターを装着して使用しました。木片に真鍮管が通る穴をあけてガイド(支え)を自作し、そこに真鍮管を差し込んで手で軽く押し付けながら切り進めることで、ブレをなくしてスピーディーに量産していきます。

切り出したパーツは1個ずつヤスリがけをすると効率が悪いため、ここでも一工夫行いました。木片に複数の穴をあけ、そこに切り出した3mm弱の真鍮管を5本ずつほど一気に差し込みます。その状態で、頭を金属ヤスリでまとめてガリガリと削ることで、すべての長さを綺麗に揃えつつ、一瞬でバリ取りと面出しを完了させました。


3. ハンダ不要の圧着メカニカル:エナメル線を挟み込む

真鍮管スリーブが揃ったら、いよいよ配線と通電のテスト(試作)です。

手順は非常にシンプルかつ確実です。

  1. 0.32mmエナメル線の端をライターで炙り、被覆を剥がして導線を露出させる。
  2. MDF基板にあけたスイッチ足用の穴に、先にエナメル線を通す。
  3. その上から、先ほど量産した3mm弱の真鍮管スリーブを押し込む。

MDF基板にあけた穴と真鍮管の外径は「ギチギチ」のサイズに追い込んであるため、真鍮管を押し込むだけで、その隙間にエナメル線がガッチリと挟み込まれて強固にホールドされます。

4. ボタン装着状態での最終導通テスト

スリーブの固定構造ができたところで、実際に天板アクリルと本番用のボタンキャップ(コズミックノイズの20.8mm)を装着した状態での最終的な導通確認を行いました。

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ボタンを実際にカチカチと押し込んだ状態でも、真鍮管がキースイッチの独自の足(ピン)とエナメル線をしっかりと挟み込み、ガタつきなく100%確実に導通していることが確認できました。ハンダ用の特殊な圧着工具すら使わず、素材同士の摩擦と密着だけで完全にゲームプレイに耐えうる接続システムが実証できた瞬間です。

5. ドリフト基板の容赦ない削ぎ落とし:コネクタ排除と直結化

ここからは無線の心臓部となる、ドリフトして眠っていたSwitch用コントローラー基板の加工に入ります。今回は薄型の筐体にすべてを収める必要があるため、基板上の「高さ」の原因となるパーツを容赦なく削ぎ落としていきました。空間はこのときは5mmです。最終は6mmですが。

まず、リチウムイオンバッテリーと、それを接続している大きな白いプラスチックコネクタです。このコネクタがあるだけで数ミリの厚みが出てしまうため、ハンダ吸い取り線を使ってコネクタごと基板から完全に排除。バッテリーのラインは基板へ直接ハンダ付けする「直結仕様」へと変更し、限界までフラットに追い込みました。

6.干渉する表のタクトスイッチの撤去

厚み(高さ)の課題はコネクタだけではありません。基板の表側(ボタンのラバーコンタクト面)にある、メニュー画面などで使う小さなタクトスイッチも大きな障壁でした。

この突起が天板アクリルや内蔵MDF基板と物理的に干渉してしまうため、これらのタクトスイッチもすべて基板からハンダを外して撤去することにしました。

スイッチ類を綺麗に取り外したことで、基板の表裏両面が完全に平らになり、積層筐体の内部へぴったりと滑り込ませる準備が整いました。


7. サイドボタンへの機能移設と配線

もちろん、取り外したメニューボタンの機能を捨てるわけにはいきません。今回は操作性を考慮し、これらのボタンを「ケースのサイド(側面)から押す仕様」へと変更します。

元々のスイッチのランド(ハンダ付けのベース)から、0.32mmの極細エナメル線を引き出し、ケース側面に新たに配置する市販のタクトスイッチへと配線を中継。これにより、内部の限られたクリアランスを完璧に回避しつつ、レバーレスの側面をカチッと押してメニュー操作ができるスマートなギミックへと生まれ変わりました。

8. MDF基板の切り欠きと、基板・バッテリーの「バーティカル配置」

フラットに加工したSwitchコントローラー基板とバッテリーですが、そのまま内蔵基板(3mm厚MDF)の上に重ねて配置してしまうと、いくらパーツ単体を薄くしても全体の厚みがケース内に収まらなくなります。

そこで、内蔵基板側に大胆な加工を施しました。

エクセルの設計図通りに、3mm厚MDF基板の左側を大きくスクエア状に切り欠き(くり抜き)。そこが空洞になったスペースを利用して、乗っ取り基板とリチウムイオンバッテリーを重ねず横並びにする形で、縦方向(バーティカル)に落とし込んで配置しました。

この「基板をくり抜いて、その厚みの空間の中にパーツを沈める」という現物合わせの立体配置によって、外枠に仕込んだタミヤの3mm中空プラ角棒2段重ね(計6mm)という超極薄の内部クリアランスの中に、無線のすべての心臓部を干渉なしで綺麗に格納することに成功しました。


9. 20PIN中継コネクタの採用:将来の基板変更も見据えたマルチ設計

縦方向のクリアランス問題をバーティカル配置で完全にクリアした後は、MDF基板(ボタン側)とSwitch乗っ取り基板を接続する「中継配線」の工程に入ります。

ここで用意したのが、パーツリストにも入っていた「20PINコネクタ(オス・メス)」です。

ボタンから伸びる配線を乗っ取り基板に直接ハンダ付けしてしまうと、後から分解やメンテナンスができなくなってしまいます。そこで、このコネクタを中継させることで、MDF側と基板側をいつでもパチッと分離できるように設計しました。これをしておくことで、将来的に中身の乗っ取り基板を別のハード(例えばPS3用の基板など)へゴトッと入れ替えてアップデートすることも可能になります。

今回は必要な信号線の数に合わせて、20PINコネクタをパキッと手元で割って「18ピン」仕様にモディファイして使用することにしました。

そして、ここでもう一つの挑戦を行います。
メインボタンの穴あけで大成功を収めた「素材の摩擦を利用したハンダレス圧着」を、このコネクタ接続にも流用しようと考えたのです。MDF側にあけたコネクタ用の穴に、あらかじめ被覆を剥いたエナメル線を突っ込んでおき、そこへ上からコネクタの足を力強く押し込む。これだけでハンダ付けを一切せず、ギチギチの圧着だけで全18本の信号線を一気に接続できる……完璧な算段でした。

10. 乗っ取り基板からの配線:テストランドの活用と「カオスなイメージ」

MDF基板側の中継コネクタ位置が決まったところで、いよいよSwitchの乗っ取り基板側からの配線作業に入ります。

このコントローラー基板、ありがたいことにウラ面にすべてのボタンのテスト用ランド(テストポイント)が露出しています。表面の細かい接点にハンダ付けするよりも遥かに作業性が高く、ハンダのノリも非常に良好で作業がサクサク進みました。


基板は、プラサフ白と第1回のソウルフルレッドを軽く吹いています。はんだ付け作業の間に塗って、乾かしてとかやってましたのでちょっと紹介と前後しますが、お許しください。

そして、ここで使用した「配線材」にはデザインの強いこだわりを込めました。
ボタン側で使用した綺麗なエナメル線はあえて使わず、娘が使わなくなって壊れていたApple製のUSBケーブルを分解し、そこから取り出した極細の内部配線をドナーとして移植したのです。さすが純正ケーブル、線は極細ながら非常に優秀でハンダ付けもしやすいです。

あえてこの有色マルチカラーの配線を使ったのは、『キカイダー01』の内部メカのような、カオスでメカメカしいビジュアルを狙いたかったからです。

クリア天板の裏で、ドナーとなったSwitch基板が筐体に囚われ、まるでシステムに魂を吸い取られながらサイボーグ化されていくかのような、怪しくも美しいメカニカル感を現物合わせで表現しました。

引き出した配線の終端は、MDF基板の切り欠きに合わせて作った「18ピン中継コネクタ」の対応するピンへとハンダ付け。すべての接続が完了した後は、抜き差しの負荷や振動で断線しないよう、コネクタの根元ごとホットボンド(ホットグルー)を流し込んでガッチリと固め、物理強度を最高クラスに引き上げました。

11.白サフ、ソウルフルレッド、そして「幾何学模様」を仕込む配線ワーク

内蔵基板となる3mmMDFボード(セリアのクリップボード)には、あらかじめ特別な塗装下地を施しています。
MDFに直接色を塗るのではなく、まずは発色を良くするために白いプラサフを全体に塗布。その上から、デザインのベースとなる鮮やかな赤を塗装しておきます。この赤には、愛車のNDロードスターのボディカラーでもある、あの深みと艶を持つ「ソウルフルレッド」をチョイスしました。

そして、ここからが今回のビルドで最もこだわった「デザインと配線の融合」です。

Excelの設計図通りにあけた極小の穴から、0.32mmのエナメル線をピンと張るように直線的に這わせていきます。エナメル線を固定している青いマスキングテープの直線ルートは、最終的に仕上げる布袋風の幾何学模様のマスキングラインになっています。

この状態の上からさらにソウルフルレッドを塗り重ねていくことで、テープを剥がしたときに下地との「色の濃淡(レイヤー)」が生まれ、ソリッドな幾何学模様が自然と浮かび上がってくる仕掛けです。

配線ルートを直角に曲げる「2連小穴ホールド」

図面通りの綺麗な幾何学模様を描くためには、エナメル線を直角に鋭くターンさせる必要があります。しかし、針金を曲げるだけでは角がどうしても浮いて丸くなってしまいます。
そこで、直角のコーナー部分に1.5mmの小穴を近距離で2個あけ、そこへエナメル線を下から上、上から下へと交互に通して固定することで、弛みなく綺麗な90度ターンを維持する独自のホールド工法を考案しました。

天板のクリアアクリルを通してみたときに、金属特有の輝きをうっすらと残した真鍮のエナメル線ラインと、あえて狙って並べたマスキングの直線がソウルフルレッドの背景に美しく並び立つ。「エナメル線の保持」と「塗装のマスキング」を完全に兼ね備えた、機能美一体の配線システムです。


真鍮管スリーブへの圧着と「100均デコシール」のマスク

この美しいルートを通ったエナメル線は、いよいよ各ボタンのキースイッチ足へと接続されます。ここで前回量産した「3mm弱の真鍮管スリーブ」が活躍します。

MDFにあけた穴と真鍮管の外径はギチギチのサイズに追い込んであるため、ライターで炙って被覆を剥いたエナメル線を穴に滑り込ませ、上から真鍮管スリーブを押し込むだけで、隙間に挟まれた線がスイッチ足へと強固に圧着ホールドされます。ハンダレスなので、熱でロープロスイッチを傷めるリスクはゼロです。

真鍮管のマスキングトリック

この後、さらに仕上げのソウルフルレッドを重ね塗りしていくわけですが、そのままスプレーを吹くと、スイッチ足との電気的な接点である真鍮管の穴の中に塗料が入り込んで導通不良を起こしてしまいます。

そこで、100均(セリア)で売っている小さなデコレーションシールを調達し、各真鍮管の頭にペタペタと貼ってマスキングを施しました。塗装が終わった後にこのシールを剥がせば、インクの侵入を防げるだけでなく、完成した赤い天板の中に、真鍮の丸い金属光沢がドット模様のように美しく露出する計算です。

12. 【大事件発生】2.54mmピッチの罠!MDF基板がミシン目になって割れ

しかし、ここでDIYの神様は容赦ない試練を突きつけてきます。

ハンダレス圧着のために、MDF基板側へ電子部品の標準規格である「2.54mmピッチ」の間隔で、コネクタピンを通すための穴を18個、横一列に連続してドリルであけていきました。

配線を仕込み、いざ18ピンコネクタをグッと差し込んで、通電テストやクリアランス調整のために何度かコネクタを抜き差ししていた、その時です。

「パキッ……」

嫌な音が響きました。
2.54mmピッチという非常に狭い間隔で、3mm厚のMDFに18個もの穴を一直線にあけてしまったため、その部分の強度が極限まで落ちていたのです。コネクタを抜き差しする際の「押し込む力」と「引き抜く力」の負荷にMDFが耐え切れず、あけた穴のラインが完全にジャストで「お菓子の箱のミシン目(ペリペリ)」状態になってしまい、綺麗にそこから基板が真っ二つに割れて崩壊するという大事故が発生してしまいました。

ボタンの穴あけ工法が完璧にいっていただけに、この高密度ピッチによる木材の強度計算の罠は完全に盲点でした。


13. ハンダ付けへの工法転換と、執念の全面リカバー

「ハンダレス」というロマンを追い求めていましたが、基板の土台そのものがミシン目で割れてしまっては元も子もありません。ここで意地を張るのをやめ、「電気的・物理的につながって保持できればいい」という思想に立ち返り、即座に工法を確実なハンダ付けへと切り替えました。

あと、Vccを一番左側から上を通して右の方まで回して、下に通してます。

第3回のまとめ:カオスと機能美の同居、そしてキカイダー01へのオマージュ

これにて、本プロジェクト最大の難関であった「すべての配線工程」が完了しました。

クリア天板のオモテ面から見れば、ソウルフルレッドの背景に真鍮のラインとうっすら光るエナメル線、そして狙って並べたマスキングの直線が整然と並ぶ「布袋ギター風の美しい機能美」。
しかし一歩裏側に回れば、ドナーとなったApple製ケーブルの有色マルチカラー配線が複雑に這い回る、まるで『キカイダー01』の内部メカのようなカオス感。

ドナーとなった基板が筐体に囚われ、システムに魂を吸い取られながら魔改造・サイボーグ化されていくかのような、怪しくも美しいメカニカルな世界観が1つの筐体の中に同居する、世界に一台だけのベースが姿を現しました。

次回第4回は、「ケースサイドボタンの自作と、空間を確保する柱の現物合わせビルド編」をお送りします。タミヤのプラ角棒を駆使して構築した、側面をカチッと小気味よく捉える独自のサイドボタンギミックの全貌を大公開します。

そして、例の汎用ロジックIC「74HC132」2個を使ったSOCDクリーナー回路の組み込みと、物理的なVcc接触不良を乗り越えた理論の完全実証については、続く第5回にてお届けしますので、どうぞお楽しみに!