【自作レバーレス】100均部材とキースイッチでSteamとSwitchで使える無線レバーレスコントローラのDIY作成(第5回:回路実装編)

こんにちは。自作ワイヤレスレバーレスコントローラー制作記の第5回、ついに最終回です。
前回はタミヤのプラ材で外枠のガワを完成させましたが、今回は本プロジェクトの総仕上げとなる、「74HC132」ロジックICを使った独自のSOCDクリーナー実装編をお届けします。

今回のコントローラーはSwitch基板を乗っ取り流用して無線化しているため、PC(Windows)に接続した際はDirectInput(Dinput)として認識されます。この仕様の基板を使用している以上、ボタンを同時押しした際に「上優先・左優先」という挙動になるのは不可避です。

しかし、これでは左右を同時押ししたときにニュートラル(入力なし)にならず、レバーレス特有の「左右同時押しによるニュートラルを利用した、ガードの即時切り替えや高速ステップ」といった恩恵が受けられません。これに気づいた小6の息子からも「これじゃあレバーレスにする意味ないじゃーん!」とツッコミが入りました。

そこで私は、実際に今回のコントローラーを作り出す前の「最初の設計段階」でこの問題をあらかじめ見抜き、「汎用ロジックIC『74HC132』2個で組む!レバーレスコントローラー用のSOCDクリーナー回路設計」として理論と回路を事前に完成させておいたのです。Excelの設計図面の中にも、すでにこのIC의 配置と、全16本の信号線、テスターによる導通試験のフローを落とし込んでありました。

今回は、そのロジック回路を現物の極薄スペースへと現物合わせでねじ込み、完全な挙動を実現するまでの記録です。


1. 空き地への引っ越し:すべてが空中配線の追加回路

当初のExcel図面では筐体の左下のスペースにこのICを並べる予定でしたが、いざ本番ビルドを進めていくと、パーツの干渉や例の「中継コネクタのMDFミシン目崩壊事件」による大修理が重なり、スペース的にかなりデリケートな状態になってしまいました。

ショートを避けるため、急遽「一番ハンダ付け作業がやりやすい空き地」へと配置を変更。選択したのは、すでにエナメル線が走っているメイン配線の真上のスペースです。

第3回であれだけこだわった「直角ターンしか許さないソウルフルレッドの布袋ギター模様」の美しい配線ワークでしたが、最短ルートでICへ信号線を滑り込ませるため、ここからは斜めのラインも許容したすべて空中配線でICを固定していきます。

まずは左右(または上下)の方向用として1セット目のICを実装。プルアップ用の10kΩ抵抗を仕込んでいくのですが、スペースが極限状態だったため、ストックしていたジャンク基板から10kΩの「チップ抵抗」を剥ぎ取って空中ハンダするというアクロバティックな現物合わせを行いました。

ちなみに、本当は2個ともチップ抵抗で揃える予定だったのですが、作業中にもう1個のチップ抵抗を紛失してしまいました(笑)。 もう大きさはどうでもよくなったので、2個目は割り切って普通のリード線タイプの抵抗を使っています。

エナメル線は被覆がしっかり剥げているかどうかが視覚的に分かりにくいため、常に導通への不安と戦いながらの非常にシビアな作業となります。



2. トラブルシューティング:謎の電圧降下と「左上入力」に化ける怪現象

2個のICを2段スタックで実装し、一通りの配線を終えていざ通電テスト。一見ちゃんと動いているように見えたのですが、実戦テストを行うと明らかに挙動がおかしいという、本プロジェクト最大の泥沼トラブルが発生しました。

なんと、「左・下・右」の3つのボタンを同時に押していくと、なぜか押していないはずのジャンプ(上)や、左ジャンプに勝手に化けて入力されてしまうという謎の怪現象です。

配線ミスか、ICの破損か、回路のバグなのか、目の前にあるすべてが疑わしい地獄の検証が始まりました。GNDラインをすべて見直し、IC周りの空中配線も全部チェック、Switch基板側の乗っ取り配線もすべて隈なくチェックしましたが、目視ではどこも異常がありません。

そこでテスターをジャンプの配線に当て、ボタンを「左」「下」「右」と順番にひとつずつ押し込んで電圧の動きを追っていきました。すると、驚くべき事実が判明します。

ボタンをひとつ押してGNDに落ちるたびに、ジャンプのプルアップ電圧が3.3Vから「0.4Vずつ段階的に下がっていく」のです。今回の乗っ取り基板の閾値だと、電圧が2V付近までドロップするとシステム側は「ボタンが押された」と判定してしまいます。つまり、左右下を押しただけなのに、電圧降下のせいでジャンプまで押されたことになっていたのです。

原因をさらに突き詰めた結果、真の黒幕は「Vcc(電源ライン)のコネクタ側の電気的な接触不良」でした。
前回のあの「MDFミシン目割れ事件」の際、急遽行ったハンダ付けが中途半端だったため、Vccラインの接続部に大きな抵抗が生まれてしまっていたのです。

Vccの抵抗が大きすぎたため、ボタンを押してGNDに落ちるたびにVccのIC元電圧自体が引きずられて段階的に低下。出力電圧もそれ基準で下がってしまい、最終的に全ての出力がLOW(アクティブLOWなので全ボタン押し判定)になり、「上下左右全押し=左上入力」と誤判定されるというメカニズムでした。

中途半端に電気を通して動いてしまっていたからこそ、一番疑いにくい盲点でした。このコネクタのVccの根本をしっかりとハンダし直したところ、あの不気味な電圧降下はピタリと収まり、回路は完全に正常化しました!

結果は、100%完璧に動作しました。
左右同時押しで完全なニュートラルが返り、あの電圧降下による誤入力も一切なし。ついに、設計段階からExcelに落とし込んで仕込んでおいたロジック回路が、現実のハードウェアとして機能し、完全勝利を収めた瞬間です。息子からの「いみないじゃーん」のツッコミを、オヤジの現物合わせ技術で完全にねじ伏せました。


最後にクリア天板のビスをしっかりと締め付け、すべてのパーツが一体化しました。
そして、私と息子はスト6をこのレバーレスで楽しんでます。次は、自分らがレバーレスになれることです。歩くこと、ジャンプすることすら大変!コマンドはたしかに出やすいです。

総額約5,000円、100均の材料をベースにしながらも、愛車と同じ「ソウルフルレッド」の輝き、布袋ギター風の機能美マスキングライン、精度を求めた真鍮管圧着、裏側に見えるAppleドナーケーブルの「キカイダー01風カオス配線」。その中央に後付けのロジックICを配置するという、ロマンとこだわりを詰め込んだ世界に一台だけのコントローラーが完成しました。

この「#1号機」の製作にかかった期間は、実に丸1ヶ月。 ミリ単位での試行錯誤や、予期せぬミシン目崩壊、そして最後の電圧降下というトラブルを現物合わせでねじ伏せてきた日々が、最高の形として結実しました。

これにて、全5回にわたる自作無線レバーレス制作記(#1号機編)は完結です。

次なる戦いへ:すでに始動している「#2号機」計画

#1号機は無事に完全勝利を収めましたが、私の頭の中はすでに次なるプロジェクトへと向かっています。実は、早くも息子専用機となる「#2号機」の設計を終え、材料もほぼ手元に揃っている状態です。

今回のSwitch基板乗っ取りによるDinputの制約や回路の省スペース化の経験を踏まえ、#2号機では乗っ取りをやめて最初から「Raspberry Pi Pico(ラズパイピコ)」を心臓部に据える計画です。
息子が使う「ためキャラ」のために、上下同時押しの挙動(上優先とニュートラル)をシチュエーションに合わせてスマートに切り替えられるようにしたいと考えています。ハードウェアで苦労した分、次回のシステム制御は私の本職である「ソフトウェアのエキスパート」としての技術をフルに注ぎ込み、より楽に、より高機能にビルドしていく予定です。

パーツ単体から現物合わせで組み上げていくDIYの楽しさが、少しでも伝われば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました!